※ケンタッキーブルーグラス、ベントグラス編(芝張最適時期は、4月~5月、9月下旬~10月下旬)
ゴルフ場のグリーンの芝生で草丈が短い(4㎜~15㎜)・・・・・・ベントグラス
サッカー場の芝生で草丈が長い(20㎜~30㎜)・・・・・・・・・・・・ケンタッキーブルーグラス
このどちらかの芝生を(お客様のお好みで)使って、庭の芝張を行います。
芝張に使用する道具で、専門用具は特にありませんが、次にあげるものが必要です。
※芝張面積が20㎡の場合
- 芝生 20㎡分
- 川砂、若しくは山砂(3㎜洗砂)・・・床土まで変える場合は約5㎥、目砂だけの場合は約0.5㎥
- 角スコップ
- 包丁(無い場合は草取鎌)
- 均し板
- コンパネ(転圧用)
- 竹ホウキ
- 化成肥料(8-8-8程度)・・・40g/㎡ 800g程度
- 散水用具(ホース、スプリングクーラ)
1)芝張するまでに
芝生を管理する条件として様々ありますが、日光(日照時間)、水(散水、排水)の要因が非常に大きくなっています。整地前に、樹木の剪定、構造物の移動等、日光を遮る物には撤去、移動などの対応をしてください。 整地作業にあたっては、排水が悪い(水が溜まる)と病気が発生して芝生が枯死しやすいので、基盤整地、表面整地が非常に大切な作業になります。 芝生は鮮度が一番なので、砂の盛込み作業を完了させてから、芝生の注文をお願いします。 芝生を購入してから準備作業に入りますと、作業時間が掛かり芝生がどんどん劣化していき、「根付きまでの時間が非常に長い」、「状態が良くならない」等の弊害がでますので十分注意してください。
次の芝張事例を参考に、芝張作業を行いましょう。
2)芝張事例
庭の敷地20㎡の場合
準備作業
樹木の剪定、構造物の移動撤去、資材の準備
基盤整地
水を抜く方向に排水勾配を取りながら、細かい不陸を取り、足・コンパネで転圧(小石や土の塊をなじませる為)
砂の盛込み作業
均一な敷均し作業
足での転圧、最終仕上げ
後から沈下の可能性がある為しっかりと転圧する 水が溜まらない様に排水勾配を考慮しきれいに丁寧に仕上げる
芝生の注文は、この作業が終わってからお願いします。(鮮度が一番)
芝張
端部から丁寧に張り、面倒でも均し板で足跡を消しながら目地を空けない様に押し付けるように張る 端は、包丁(鎌)で切り、加工しながら丁寧に作業を進めていく
転圧
表面の凹凸をなくし、下地と密着させる様に転圧作業をする
目砂
芝生が隠れない程度(3㎜厚さ)で全面に均一に散布し、乾くまで1~2時間待つ 砂が乾いたら、竹ホウキで摺り込み作業を行う 砂が厚く入った場所は、芝生が窒息して枯れる場合があるので丁寧な作業を行う
施肥
20㎡の庭の敷地だと800gの化成肥料をバケツに取り、ムラ無く均一に散布する たくさん落とし過ぎると、肥料焼けで芝生が枯死するので注意が必要
均一に、ムラ無く、正確に!
散水
乾燥防止、目砂の落ち着き、肥料を溶かす為に、散水を行う 散水は面積に応じ、ホース・スプリングクーラーを使い多めに行う 時期にもよりますが、根付くまで10日~2週間位時間が掛かりますが、引っ張っても芝生が持ち上がらなくなるまでは、毎日の散水が必要です(雨天時は除く)
芝張作業は、丁寧に均一な作業を心掛けてください。 これで芝張作業は終わりますが、ここからが腕の見せ所の管理作業が始まります。 管理作業は、丁寧に均一な作業の連続ですので、天気と芝生の顔色を見ながら、作業を行ってください。 芝生の管理作業をしてきた人なら、1回2回の失敗は当たり前のことなのでチャレンジしてみてください。
ケンタッキーブルーグラス、ベントグラス ※気象、庭の立地条件、管理密度で変わります
参考例
4月6回、5月7回、6月7回、7月7回、8月7回、9月7回、10月6回、11月4回、12月2回、1月0回、2月0回、 3月3回
4月2回、5月2回、6月1回、7月1回、8月1回、9月2回、10月2回、11月1回、12月1回、1月0回、2月0回、 3月1回
4月4回、5月5回、6月5回、7月5回、8月5回、9月5回、10月5回、11月2回、12月1回、1月0回、2月0回、 3月0回
4月2回、5月2回、6月1回、7月1回、8月1回、9月2回、10月2回、11月1回、12月1回、1月0回、2月0回、 3月1回
4月3回、5月4回、6月4回、7月4回、8月4回、9月4回、10月4回、11月2回、12月0回、1月0回、2月0回、 3月0回
4月1回、5月1回、6月1回、7月1回、8月1回、9月1回、10月1回、11月1回、12月0回、1月0回、2月0回、 3月1回
以下は、上級、中級、初級者共に同じ
4月1回、5月0回、6月1回、7月1回、8月1回、9月1回、10月1回、11月0回、12月1回、1月0回、2月0回、 3月1回
4月1回、5月0回、6月1回、7月1回、8月1回、9月0回、10月0回、11月0回、12月0回、1月0回、2月0回、 3月0回
4月1回、5月0回、6月0回、7月0回、8月0回、9月1回、10月0回、11月0回、12月0回、1月0回、2月0回、 3月0回
4月1回、5月0回、6月0回、7月0回、8月0回、9月1回、10月0回、11月0回、12月0回、1月0回、2月0回、 3月0回
家庭の庭に張っている芝生で圧倒的に多いのが「コウライ芝」「野芝」の日本芝ですが、10月前半から5月上旬まで色が落ち白色になります。 寒地型芝は、1年を通して緑色を保ちます。芝生管理として手間が掛かりますが、芝生の顔色を見ながら自分の手間の掛け方次第で、良くもなり、悪くもなりますのでやりがいがあります。 テレビでよく見るサッカー場の○○スタジアムと同じ芝生を、ぜひご家庭に張ってみてください。 西洋芝生の管理の基本は「作業を均一に」「正確に」「根気よく続けられるか」が基本です。 日本芝よりも圧倒的に手間が掛かりますが、初級者から上級者までの簡単な管理マニュアルを作りましたので、ぜひ参考にしてみてください。
刈込機械は、手動、電動、エンジンの3種類がありますが、なるべくリール式のリールモアをお勧めします。 刃の切れ味の確認も必要です。切れ味が悪いと成長の抑制、病気(パッチ系、ダラーポスト等)の病気の原因にもなります。 刈込回数は、3月から12月までの間に29~60回をめどに行ってください。葉を細かく完璧に仕上げたい人は多めに、観賞用にしたい人は少なめの設定にしてください。 刈高は、ケンタッキーブルーグラスで20~30㎜、ベントグラスで5~15㎜の設定で行うことが望ましいです。 刈高が低い程見た目はきれいですが、刈高が低い程、管理密度が高くなり(手間がかかる)失敗するリスクが大きくなります。 刈込時に発生した刈かすは、芝生の上から全て取り除き、なお且つ機械の洗浄をお願いします。(病気の原因になります)
刈込例)
刈込機械・・・左から 手押しモア、刈込鋏、グリーンモア
刃の切れ味確認
刈込状況 刈込鋏による端部の刈込 刈かす(サッチ)
芝生の専用芝生の細粒肥料8-8-8程度の肥料をお勧めします。散布しやすい、効き目が長い、肥料焼けしない肥料だからです。
肥料例)
20g/㎡を散布基準としたら、庭の㎡数×0.02㎏で1回当りの散布量を計算します。
- 20㎡の場合・・・20㎡×0.02㎏=0.4㎏=400g
- 35㎡の場合・・・35㎡×0.02㎏=0.7㎏=700g
散布機械は販売されていますが、購入されなくても面積の少ない場合はバケツ等にとり手作業で散布しても簡単に作業できます。とにかく肥料は、「均一に」「ムラ無く」「正確に」散布を行ってください。まいた所、まかない所が1週間~10日後にはっきりとわかりますので、あなたの腕の見せ所になります。 散布後は散水をたっぷり行ってください。 もし、1箇所に大量にこぼした場合は、慌てずに手できれいに取り除き、散水を多めにたっぷりと行ってください。(この作業をやらないと、肥料焼けで芝生が枯死します) 特に、夏場の気温の高い時期は、朝から夕方の気温の低い時間帯の作業をお勧めします。(肥料焼けの可能性がある為)
施肥例)
芝張方法一例の、施肥、散水と同じです。均一に、ムラ無く、正確に。たっぷりと散水をする。
芝生登録(芝生に散布しても良い薬)を取得している薬剤を使用します。
薬剤例) 薬剤により散布量が異なりますので取扱説明書をご確認ください
- 殺菌剤・・・ベンレート水和剤(1g/㎡)等
- 殺虫剤・・・スミチオン乳剤(1㏄/㎡)等
混合して散布する場合は
- 20㎡の場合・・・ベンレート水和剤20㎡×1g=20g、スミチオン乳剤20㎡×1cc=20cc、水20ℓ
- 35㎡の場合・・・ベンレート水和剤35㎡×1g=35g、スミチオン乳剤35㎡×1cc=35cc、水35ℓ
ベンレート水和剤、スミチオン乳剤を既定の水量に入れてよく混ぜた混合液を、ジョウロに移し、庭に均一に散布します。混合液がなくなるまで散布してください。(もし若干余った場合で病気が発生している場合は、その部分にもう一度散布してください) 施薬には、薬害の可能性があるので、手袋、マスク、長袖を着用し、肌を露出しての作業は行わないでください。 雨の日、風が強い日は散布作業は避けてください。 なお、薬剤の使用上の取扱説明書を確認ください。
施薬例)20㎡当り
大きいバケツ、ジョウロ、薬剤、計量カップ
水20ℓ確認
ベンレート水和剤20g確認
スミチオン乳剤20cc確認
混合
薬剤散布
※主に考えられる病害虫と防除剤
殺菌剤
考えられる病害・・・主な発病時期・・・主な防除薬剤
- 葉枯病・・・・・・・・・・・ 春と秋・・・・・・・・ ベンレート、ダコニール(TPN剤)
- 葉腐病・・・・・・・・・・・ 春と秋・・・・・・・・ ベンレート、トップジンM
- ピシウムブライト・・・・ 春から秋・・・・・・・ダコグリーン
- ダラースポット・・・・・・春と秋・・・・・・・・・ベンレート、トップジンM
- 雪腐病・・・・・・・・・・・ 早春・・・・・・・・・・ 銅剤、ダコグリーン
殺虫剤
考えられる害虫・・・主な発病時期・・・主な防除薬剤
- スジキリヨトウ・・・・・・春から秋・・・・・・・スミチオン乳剤
- シバツトガ・・・・・・・・ 春から秋・・・・・・・スミチオン乳剤
- コガネムシ・・・・・・・・春から秋・・・・・・・スミチオン乳剤
土壌の通気、排水性、根の促進の為に、春秋共に1回ずつの作業を行います。 根を切る、穴をあける等、種類がありますが、足踏み式で一般的に両方付いているものがありますので、そちらを利用すればいいと思います。 5㎝~10㎝間隔で穴を開けていきますが、排水の悪い場所は間隔を狭めてもいいと思います。 穴あけ後はコアの撤去をお願いします。 エアレーションを行った後は目砂を行います。
エアレーション例)
レイキ、足踏み式の器具
5㎝~10㎝の間隔で穴を開ける
コアの撤去状況
川砂か山砂の洗い砂を使用します。土を使用すると排水不良、病気、雑草の種の混入が考えられますので使わないでください。 芝生が隠れない程度(2㎜~3㎜/㎡)に、全面に均一に散布し薄く敷き均します。 乾くまで1~2時間待ちましょう。砂が乾いたら、ホウキ、板等で擦込み作業を行います。砂が厚く入った場所は、芝生が窒息して枯れる場合があるので丁寧な作業を心掛けましょう。 作業後は、肥料を散布し散水を行うと、より効果的です。
目砂例)
左・・・目砂散布状況 右・・・散布後の近影写真
レイキによる敷き均し
左・・・ホウキによる擦込み右・・・擦込み後の近影写真
小面積ではホースでの散水、面積が大きいとスプリングクーラーでの散水が有効です。 意外に簡単な作業ですが、気象条件、散水時間、散水する、しないの判断に迷って失敗する例がかなり多いです。 通常の場合、毎日の散水は必要ないと思います。(水道代の増加が懸念されます) 芝生の葉を見ると色が黒っぽくなってきますので、その微妙な変化を見抜くことも必要ですし、同じ庭でも乾きやすい場所、いつまでも湿っている場所があると思いますので、部分的に散水作業を行うという工夫も必要です。 常に水をまくことで、加湿状態になり、病原菌の発生にもつながりやすいので、芝生の顔色を見ながらの作業をお勧めします。
散水例)
散水器具
左・・・一般的な手撒き散水 右・・・スプリングクーラーによる散水
密度がある芝生には、雑草が出にくくなりますので、常に良好な状態を維持してください。 もし、雑草が出た場合は、手でこまめに取ることをお勧めします。(除草剤は、種類が少なく、薬害が出やすいので使わないのがベストです)
除草器具
もし、芝生の状態が悪い場所があった場合は、芝張か播種の方法がありますが、その前に、その場所がなぜ悪くなるか原因を考えましょう。 構造物による日照不足、乾燥による水枯れ、通路になる場所、病気等さまざまな要因がありますが、芝生を直す前にその原因を突き止めて対策を行いましょう。 芝張、播種共に適正時期は、4月上旬~5月下旬、9月中旬~10月下旬になっています。 後々の手間が少ない方法は芝張りがお勧めです。 この時期ですと、約10日~2週間位で根をおろします。 補修個所を包丁、草取鎌で切り取り、張戻す芝生の高さと、廻りの芝生の高さを同じ高さに調整して、芝生を張ります。肥料を少量(20g/㎡)散布します。 根付くまでは、毎日散水の手間が掛かりますが、根付いたら従来の管理と一緒です。
芝張例)
芝張方法と同じです。芝張方法一例をご覧ください。
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